2006.11.03 Friday
陰山式モジュール授業の実践
■今日のメンター
■陰山式モジュール授業の実践
■陰山 英男
■小学館
■著者紹介
1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では著しい成果をみせている。2006年4月より、京都市北区に開校の立命館小学校副校長兼立命館大学教授に就任。2006年10月、政府の教育再生会議委員に就任。
【1】 基礎的な学習能力は高まる
今までの日本の教育は、子どもたちの基礎的な学習能力が高まるということを想定していませんでした。子どもの能力は一定のものとして、どのような手段や方法で子どもたちを学習させていくことがいいかという、教材中心の考え方でカリキュラムが考えられてきたのです。
でも、ここに至って、その発想を根本から改めなければ、新しい段階の指導はあり得ません。新しい教育をするために効果的な、新しい指導方法を開発し、着実に結果をだしていくことが重要と考えるべきでしょう。
土堂小学校における実践の最大の成果は、子どもたちの脳は、予想以上に、短期間に、簡単な方法で、高度に鍛えることができるということを発見し、さらにその指導法を誰でもできる形で提案できたことにあります。その指導法こそが「モジュール授業」です。
【2】 「モジュール授業」とは
読み書き計算の重要な点は、第一に全学級がいっせいに行うことです。学級や学年を超えて情報交換が行われ、相乗効果がでてきます。第二に、実践がもっとも効率的にできる朝に行うこと。脳が活性化された状態で授業に入れます。そして、第三は、毎日することです。
最大の問題は、どの授業時間に繰り込むかでしたが、土堂小学校ではこのように行っています。45分授業を15分×3として、音読15分、計算15分、その他15分として、週3日・1時間ずつ、モジュール授業の時間としました。国語、算数、学校裁量のそれぞれ1時間をあてました。
当初こうした実践に疑問をもっていた先生方も、わずか3年でこの実践を多くの人の前で語るほどにまで変化しました。それは、多忙に苦しむ教職員を楽にすることができたからです。想像してみてください。ひと通り説明しただけで、だいたいの子が学習内容をきちんと理解できるという授業を。
【3】 「モジュール授業」のポイント
「モジュール授業」を指導するに当たって注意すべき点は「スピード・テンポ・タイミング」です。3つの中で重要なのはスピードです。一般的に授業は「ゆっくりじっくり」がいいと思われていますが、どうも脳はスピードに反応するようです。
「モジュール授業」では、このスピードやテンポにすべての子どもたちがきちんとついて来ているかどうかをきちんと見極めることが、最も重要になってきます。「ついてこれない子も多い。だからだめ」というのではなく、なぜできていないのかを分析し、次の指導に生かすことが絶対に必要です。
できてない部分を抽出し、全体でも個別でも、そこを繰り返してできるように努力することが必要なのです。そうして、全員をしっかり伸ばすという努力をすることが望ましいのです。
【4】 成果が物語る子どもたちの可能性
まずは家庭の協力による「早寝早起き朝ごはん」の生活習慣の徹底で、子どもたちを元気に学校に送り出していただくこと。そして、読み書き計算の反復学習で、子どもたちの脳のパワーを高めていくこと。この実践の有効性は標準学力調査でトップクラスの成績を収めたことでも明らかです。
土堂小学校は学力による選抜は行っていません。この結果が示すこと、それは学力的に選抜された子どもたちと同じレベルまで向上することは、子どもたちと周囲の大人たちが望めば可能だということです。
何よりもいいことは、子どもたちが学校を楽しいと言い、早朝、笑顔で元気に登校してくれるようになります。子どもたちの脳のレベルが一段と上がったとき、クラスにどのような変化が生じるか、実践され、子どものたちの伸びを目の当たりにされたとき、この意味をご理解いただけることでしょう。
■選書コメント
今週のメンターは陰山英男先生です。
先日も申し上げましたが、私の母校は陰山校長で有名になりました土堂小学校です。その関係もあり、昨年一時広島に帰省していたときに、公開授業に2度、陰山校長の講演会に3度に出席しました。
そのときの子どもたちの生き生きとしている授業風景はとても衝撃的でした。20年前同じ教室に自分が座っていたのとは随分違うなぁと。「さすがすごいな3年生か4年生ぐらいかな」と思って教室の札をみたら1年生と書いてあり目を疑いました。
それでこの秋にまた研究授業があるという情報を得たので、最後の機会だと思って往復2〜3万交通費がかかりますけれども、ビデオにおさめておこうと、帰省を考えていました。そうしているところに、なんとグッドタイミングで、本書が発売されいたのです。
この本には、DVDでモジュール授業が収録されています。な、なんと収録時間は1時間48分で、2,200円です。おもわず2冊買おうかと思いましたが、気を静めて1冊のみの購入にとどめました。この容量で、この価格は、とてもお得です。
演劇や、スポーツを映像で観るようなイメージにはなりますので、実際よりも迫力はやや減っていますが、雰囲気や実践の意味は十分読み取れる内容です。結局陰山式ってどうなのかなぁ、という疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
■陰山式モジュール授業の実践
■陰山 英男
■小学館
■著者紹介
1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では著しい成果をみせている。2006年4月より、京都市北区に開校の立命館小学校副校長兼立命館大学教授に就任。2006年10月、政府の教育再生会議委員に就任。
【1】 基礎的な学習能力は高まる
今までの日本の教育は、子どもたちの基礎的な学習能力が高まるということを想定していませんでした。子どもの能力は一定のものとして、どのような手段や方法で子どもたちを学習させていくことがいいかという、教材中心の考え方でカリキュラムが考えられてきたのです。
でも、ここに至って、その発想を根本から改めなければ、新しい段階の指導はあり得ません。新しい教育をするために効果的な、新しい指導方法を開発し、着実に結果をだしていくことが重要と考えるべきでしょう。
土堂小学校における実践の最大の成果は、子どもたちの脳は、予想以上に、短期間に、簡単な方法で、高度に鍛えることができるということを発見し、さらにその指導法を誰でもできる形で提案できたことにあります。その指導法こそが「モジュール授業」です。
【2】 「モジュール授業」とは
読み書き計算の重要な点は、第一に全学級がいっせいに行うことです。学級や学年を超えて情報交換が行われ、相乗効果がでてきます。第二に、実践がもっとも効率的にできる朝に行うこと。脳が活性化された状態で授業に入れます。そして、第三は、毎日することです。
最大の問題は、どの授業時間に繰り込むかでしたが、土堂小学校ではこのように行っています。45分授業を15分×3として、音読15分、計算15分、その他15分として、週3日・1時間ずつ、モジュール授業の時間としました。国語、算数、学校裁量のそれぞれ1時間をあてました。
当初こうした実践に疑問をもっていた先生方も、わずか3年でこの実践を多くの人の前で語るほどにまで変化しました。それは、多忙に苦しむ教職員を楽にすることができたからです。想像してみてください。ひと通り説明しただけで、だいたいの子が学習内容をきちんと理解できるという授業を。
【3】 「モジュール授業」のポイント
「モジュール授業」を指導するに当たって注意すべき点は「スピード・テンポ・タイミング」です。3つの中で重要なのはスピードです。一般的に授業は「ゆっくりじっくり」がいいと思われていますが、どうも脳はスピードに反応するようです。
「モジュール授業」では、このスピードやテンポにすべての子どもたちがきちんとついて来ているかどうかをきちんと見極めることが、最も重要になってきます。「ついてこれない子も多い。だからだめ」というのではなく、なぜできていないのかを分析し、次の指導に生かすことが絶対に必要です。
できてない部分を抽出し、全体でも個別でも、そこを繰り返してできるように努力することが必要なのです。そうして、全員をしっかり伸ばすという努力をすることが望ましいのです。
【4】 成果が物語る子どもたちの可能性
まずは家庭の協力による「早寝早起き朝ごはん」の生活習慣の徹底で、子どもたちを元気に学校に送り出していただくこと。そして、読み書き計算の反復学習で、子どもたちの脳のパワーを高めていくこと。この実践の有効性は標準学力調査でトップクラスの成績を収めたことでも明らかです。
土堂小学校は学力による選抜は行っていません。この結果が示すこと、それは学力的に選抜された子どもたちと同じレベルまで向上することは、子どもたちと周囲の大人たちが望めば可能だということです。
何よりもいいことは、子どもたちが学校を楽しいと言い、早朝、笑顔で元気に登校してくれるようになります。子どもたちの脳のレベルが一段と上がったとき、クラスにどのような変化が生じるか、実践され、子どものたちの伸びを目の当たりにされたとき、この意味をご理解いただけることでしょう。
■選書コメント
今週のメンターは陰山英男先生です。
先日も申し上げましたが、私の母校は陰山校長で有名になりました土堂小学校です。その関係もあり、昨年一時広島に帰省していたときに、公開授業に2度、陰山校長の講演会に3度に出席しました。
そのときの子どもたちの生き生きとしている授業風景はとても衝撃的でした。20年前同じ教室に自分が座っていたのとは随分違うなぁと。「さすがすごいな3年生か4年生ぐらいかな」と思って教室の札をみたら1年生と書いてあり目を疑いました。
それでこの秋にまた研究授業があるという情報を得たので、最後の機会だと思って往復2〜3万交通費がかかりますけれども、ビデオにおさめておこうと、帰省を考えていました。そうしているところに、なんとグッドタイミングで、本書が発売されいたのです。
この本には、DVDでモジュール授業が収録されています。な、なんと収録時間は1時間48分で、2,200円です。おもわず2冊買おうかと思いましたが、気を静めて1冊のみの購入にとどめました。この容量で、この価格は、とてもお得です。
演劇や、スポーツを映像で観るようなイメージにはなりますので、実際よりも迫力はやや減っていますが、雰囲気や実践の意味は十分読み取れる内容です。結局陰山式ってどうなのかなぁ、という疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。