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愛するということ
愛するということ (JUGEMレビュー »)
鈴木 晶, Erich Fromm, エーリッヒ・フロム
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教員ドットコム 教育関連おすすめレビュー


様々な方面で活躍されているメンターの方のお話を紹介していきます。

教え力
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    ■今日のメンター
    ■相手を伸ばす! 教え力
    ■齋藤 孝
    ■宝島社
    ■著者紹介
    1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞)など。


    【1】 教えるということ

    教えることの目標は、「相手を上達させること」です。懇切丁寧に説明しているばかりで、結局、生徒ができるようにならないのでは、本当に教えていることにはならないと思うのです。学ぶ側ができるようになったかどうか。これだけが教えたことの評価なのです。

    相手を上達させるためには、「練習させる」ことが重要です。ですから、教えることの中心には、「練習メニューをやらせる」ということがきます。優れた練習メニューを、繰り返し、飽きさせずにやらせることができれば、学ぶ側は間違いなく上達するのです。

    では、練習メニューをやらせるために何が必要なのか、考えてみますと、「憧れる力」「評価力」「テキスト力(素材力)」「ライブ能力」というものがきます。そして、「教え込む」時期を過ぎたら、「育てる力」により、「教える」の最終的な目標である、相手の自立を目指します。


    【2】 憧れる力

    教えることのいちばんの基本は、まず、教える相手のモチベーションをかきたてることです。相手がやる気になりさえすれば、ほとんど勝ちなのですから。では、そのために何がいちばん大事なのかというと、教える側の人間が、やろうとしていることに恐ろしいほどに憧れを持っていることです。

    ヘーゲルの言葉に「欲望は模倣される」という言葉があります。欲望は、そうした欲望を持っている人によって「かきたてられる」というのです。教育とはシンプルです。教える側の憧れが、生徒の憧れを生むのです。生徒のほうから見ると「先生の憧れに憧れる」ということになります。

    向き合って話込むばかりではなく、むしろその人自身が何かに向かって走っている、しかも上斜めの方向に突き進んでいる、さらに、その力の量が圧倒的に多いとなると、これは相当まわりにいる人を鼓舞します。「いま、自分自身には本当に憧れがあるのだろうか?」常にこの問を発してください。


    【3】 評価力

    評価することを恐れてはいけない。学校でも会社でも「できない状態からできる状態に移る」ことを学ばなくてはいけないわけです。そして、できるようにさせるためには、「相手にいま、どのような力が必要なのかを見抜くこと」ができなければいけません。この力が評価力というものです。

    まず「いま、学ぶ側の力はこのぐらいだ」「良い状態と比べると、ここはできているけれども、ここができていない」というのを見抜く。そのうえで、できていない部分を強化するためには、どんな練習メニューが効果的かと考えるわけです。

    なおかつ、学ぶ側が伸びていくためには、どこが悪いのかをわからなせなければなりませんが、その際にただ「ここがダメだ」と言ってしまうのは良くない。良いところ、悪いところを腑分けして、相手がやる気をなくさないようにそれを伝えていく、「コメント力」も必要とされます。


    【4】 ライブ能力

    教育というのは、ライブ感がないと、最終的にはダメだと思うのです。優れた、カリキュラム、練習メニューを持っていたとしても、相手をノセていくという面がないとなかなかうまくいかないものです。場の空気を感知して、臨機応変にメニューを切り替える。これがライブ感です。

    そして、現場では、テンションの高さが必要です。「もうおれは肚を決めた、勉強しないかぎりはてこでも動かん!」「なんとしても上達させてみせる!」というテンションの高さを出しましょう。そこにいる人たちの意識を揺り起こして、緊張感を高めていくためには絶対にこの高さが必要です。

    教える前段階に、相手の意識のレベルを上げることが重要です。多人数を教える場合、問題になるのは能力差ですが、実は、意識レベルの差のほうが大きいのです。活性化していればたいがいのことは大丈夫なのです。意識レベルは、突つかないとあがりません、場を感知し、ノセていきましょう。


    ■選書コメント

    今週は齋藤孝先生特集第2弾です。

    齋藤先生を以前納税者リストで拝見したとき、職業が「タレント」となっていました。テレビにもよく出演されているので芸能人と思われているかたも多いと思います。もしくは、、もともとの火付け本が『声に出して読みたい日本語』ということで、日本語専門家と思われているかと多いかもしれません。

    もしかしたらですが、サントリーの「DAKARA」のCMや、徹子の部屋での健康法関係により、デューク更家さんと同ジャンル?と思われているかたもいるかもしれません。それはないか。と、前置きが長くなりましたが、実は、齋藤孝先生の専門は「教育学」です。中でも教師を育てる「教育者教育」という教育方法を専門にされています。

    その「Teacher of the Theacers」が教育方法についてもっとも力を入れた一冊が、本書です。教師に必要な力はなにか、そして、その力を育てていくにはどうしたらよいのか、というテーマを「5つの力」の切り口で学び取ることができます。

    私自身、以前は、「どのように教えたらわかりやすいか」「どうモチベーションをあげていくのか」という2つの観点でしか教えるということを考えていませんでした。しかし本書により、教えるにあたっての心構え、そして、練習メニューの大切に気づかされました。

    小手先ではなく、教える事の本質を見据えた本書は、学校だけなく、会社、親子関係においても、教えることに興味のある方すべてに大オススメの1冊です。


    | 齋藤孝 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    先生増殖方式
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      ■今日のメンター
      ■実践!齋藤メソッド 生きる力を鍛える
      ■齋藤 孝
      ■小学館
      ■著者紹介
      1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞)など。


      【1】 先生増殖方式とは

      先生増殖方式…先生が説明した内容を、「生徒自ら先生と同じように再生できるようにする」方法。

      すべての教科を言語活動として捉え、先生のように説明できるようにする。教育の到達点は、先生のように教えられるようになるということであり、それが最も効果的な学習方法なのである。


      【2】 手順

       ,泙裟萓犬説明をする
      ◆〇劼匹發魯瓮發鬚箸蠅覆ら聞く
        (説明が終わった時点で、子どもはわからないことは質問する)
       子どもはメモを見て覚える
      ぁ。何佑劼帆箸如交互に説明しチェックする(1往復)
      ァ〜蠎蠅鯀箸濛悗┐討發Γ臼復する
      Α〇転紊欧箸靴董∪睫世靴燭海箸鮑酳犬暴颪せる
      А―熟プリントで、類似問題を大量に解く

      時間配分  銑Δ鬘隠喫くらいでやる。Г忙間をとる。


      【3】 ねらい

       |亮韻猟蠱緡┐高い 
       1)聞く・話す・読むという要素が全部入ってくる
       2)量をこなすことができる
      ◆,垢戮討了童・生徒が主体になり充実した時間を過ごすことができる
       話す力、聞く力、メモ力、文脈力などプラスアルファの力が身につけられる


      【4】 Q&A

        孱何佑劼帆箸里箸についてもう少し詳しい話を聞かせてください」
       →「教師役」の生徒はメモを見ずに話をし、「聞き役」はメモを見ながら、漏れがないかをチェックする。後の教師役は相手の話がチェックできる分自分の番ではポイントをもらさず話せるのが有利だ。先の教師役は自分が一度話したものを再確認できるので深く学べるメリットがある。

      ◆ 屬匹里茲Δ覆海箸肪躇佞鬚垢譴个いい任垢?」
       →「本質的な説明」と「習熟プリントの作成」が必要。解答も一緒に配る。最初にある教師の説明の如何によって、子どもたちの活動が大きく影響を受ける。あとは時間内にどれだけこなせるか。活動に取り組んでいる際は、学習の遅れがちな子どもを中心にみていく。

       「勉強の嫌いな子どもでもできますか?」
       →この方式では、そうした優劣はほとんど影響ない。基本的に子どもたちは皆しゃべることが好きだからだ。勉強が嫌いな子でも、先生役になれば、それなりに話せてしまう。説明内容に興味がもてない子でも、説明内容を短くする。勉強以外の内容や、すでに子どもたちの知っている内容を最初に取り上げて、先生役の楽しさを実感させるなど、先生増殖方式に興味を持たせる。

      ぁ 崟萓犬汎韻呼睛討鮖劼匹發話せる必要はあるのでしょうか?」
       →新しい知識が入ってきたとき、自分の言葉に置き換えて説明ができるようになれば、わかったといえる。話を聞いてもそれを他人に伝えられなかったら、聞いていないと同じなのだ。まったく同じでなくても、短くても構わない。内容をつかんでいれば、それでいい。

      ァ 崙睛討鰺解しているか、すべてのポイントを押さえているかは、どのように判断しますか?」
       →2往復終了した後に、何人か代表で前にて発表をして全体で確認し、モレがないかをみる。発表をしっかり褒める。習熟プリントの進み具合で理解度がわかる。

      Α 嶇辰垢海箸苦手な子でも、先生役はできますか?」
       →先生役になって話してみると、自分に話す能力がないのではなく、単に話の端緒が見つからなかっただけだったことが分かる。次からはメモのとき話の端緒となるキーワードを並べるようになる。この方式は個々の生徒にそれを気づかせてくれる。そして、人前で話す意欲が沸く。一度先生役をやってしまうと、次に聞き役になって相手の話をチェックするときは、相手の話の内容に何がかけているのかがはっきり見えてくるので、面白くて仕方なくなるというようになる。

      А 峭盂愬の児童でも難しいように思いますが」
       →何度か繰り返すうちにコツがわかるようになります。どうメモをすればいいのか。どのような話をすればいいのか。どのような効果があるのか。取り扱う内容は毎回違っていても、形式は毎回同じなので、回数を重ねるうちに身につくようになる。また、発達段階に応じて、補助線(枠組み)のついたメモ用紙を教師側で用意したり、話す内容を工夫したりする。
       
      ─ 屬垢戮萄能蕕棒萓犬答えを言うと子どもの問題解決能力や、創造性が育まないのでは?」
       →私の考えでは、基本的には子どもが初めて解答を生み出すとか、問題解決や開放発見型の授業はやらないということだ。つまり、わからないことが頭の中にひらめていてわかるようになる、ということには期待しない。解き方の本質については、先生が語るものだ。また、「基本の再生能力」という土台の上に「創意工夫」があるのだと思う。アイディアとは、基本的にアレンジである。創意工夫というのは、再生能力を基盤として、何かと何かをくっつける能力なのだ。
       ※ Q&A┐瞭睛討亡悗靴討蓮⊃学・算数の教科を前提として話をしています。


      【5】実践を通して

      ・「あれぇ、なんだっけ。ちょっと待って」「あ、これ言えるかな」と深く情報に携わる
      ・2往復することで自分の言葉になる→理解できている
      ・「この人の話し方上手いな」、「メモきちんととれているな」と相手から様々なことを学ぶ
      ・先生の意図を子どもたちが理解できる。
      ・子どもたち同士で学習をすすめる機会になる。「これ、どういうことかなぁ」
      ・普段メモをとらない人も、メモをとるようになる。話を聞くようになる。
      ・短時間でも内容を「いつもよりきちんと」覚えることができたという意見が多かった

      ■選書コメント

      今週は齋藤孝先生特集第2弾です。

      本書は、「16もの」齋藤メソッドが詳しく、丁寧に紹介されています。3色ボールペンや、偏愛マップというおなじみのものをはじめとして、メタ・ディスカッションや先生増殖方式といったものなどなど、様々なメソッドが、すぐにでも活用できるかたちで収録されています。

      その中で、今回は、私のもっとも注目しており、実際に現役の先生同士が参加する勉強会で挑戦しました「先生増殖方式」をピックアップしました。個人学習、グループ学習、学級学習が一度に行え、練習量も多く、それぞれが主体的に参加できるこの学習方式をぜひともマスターしていきたく、また、すべての人にオススメしたいメソッドです。

      メソッド、メソッドって、何がメソッドかよくわからないというかたは、理論書として『「できる人」はどこがちがうのか』(ちくま新書)を、実践編として、『本書』と、『齋藤式 潜在力開発メソッド』(マガジンハウス)の2冊をご一読されるとよろしいかと思います。

      | 齋藤孝 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      子どもに伝えたい<三つの力>
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        ■今日のメンター
        ■子どもに伝えたい<三つの力>
        ■齋藤 孝
        ■NHKブックス
        ■著者紹介
        1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞)など。


        【1】 子どもたちに伝えるべき力とは

        子どもに本当に伝えたい、伝えなければならない力とは何なのか。これを明確にし、多くの人が伝えるべき力についての共通認識を持つことによって、朦朧として浮き足立った教育の現状から抜け出すことができると私は考えている。共通認識を持つことが、力を伸ばすために不可欠の条件である。

        世界で通用する力と言ったときに、英語やIT技術を突出して考えるのは危険である。日本が国際的に厳しい状況におかれたのは、今に始まったことではない。障害を克服することでつねに発展をとげてきた。その発展を支えた普遍的な力を見直す必要がある。では普遍的な力とはどのようなものか。

        厳しい状況に放り出されたとしても生き抜いていくことができる基礎力、普遍的な力として、<三つの力>を設定した。奇をてらった概念ではなく、誰にとってもベーシックなであるコンセプトだと考えている。これら判定基準が経験をコンセプトにしたがって反省的に捉えかし、生きる力を鍛える。


        【2】 まねる盗む力

        たとえば、いきなり言葉が通じない国に連れていかれ、放り出されたとすると、どのような力が要求されるだろうか。その社会で働いている人の仕事ぶりを見て盗むことさえできれば、身体を使った労働ならば、なんとかそのシステムに食い込んでいくことができる。

        この力が身についていれば、たとえ親切に教えてくれる人がいない状況でも、技を見抜いて自分のものにしていくことができる。現在の日本の学校教育では、教えてもらうのが当たり前になっているが、その受け身の姿勢が染みついていると、厳しい社会に放り出されたときに身動きが取れなくなる。

        支持されたことだけをやるというのでは、通用しない。積極的に貪欲な目でうまい人の技を盗む、そうした積極的に学ぶ姿勢自体を身につける訓練がどうしても必要である。


        【3】 段取り力

        段取り力も、生活や仕事のさまざまな場面で求められている力である。周りの動きを予測しながら自分の動きを段取ったり、多くの人が楽しめる場を作り上げたり、上達するための自分の練習メニューを組み立てたりするのが、段取り力である。

        段取り力は、細かくタイムキーピングすることではない。むしろ、枝葉末節は捨てて骨組みをきっちりと押さえ、大過がないようにする力である。重要なツボをしっかり押さえておくことによって、かえって融通が利くようになる。そうした自由な動きを可能にする。

        段取り力は、数学の証明問題を通しても鍛えられるし、部活動の練習を通しても鍛えることができる。総合的な学習の時間では、自分で調べる段取りをつけたり、発表の段取りを考えたりすることが、すなわち段取り力を鍛えることになっている。


        【4】 コメント力

        コメント力や要約力、質問力は、コミュニケーション能力の具体的な内実である。人の良いところに気がついて言葉にしてほめるということも、コミュニケーション能力の代表的なものだ。

        また、ある話を聞いて、的確なコメントをしたり質問したりすることによって、コミュニケーションは活性化する。話し手に対してレスポンスすることを前提にして聞くことによって、話は見に入ってくる。

        こうした力は、スポーツ技術のように、具体的に鍛えることができるものだ。対人関係能力というと漠然としてしまうが、コメント力や質問力ということならば、着実に伸ばしていくことができる。走力や跳躍力や創造性といったものと比較すると、誰にでも門戸が開かれた力である。


        ■選書コメント

        今週は齋藤孝先生特集第2弾です。

        本書は、齋藤先生の開催されている私塾「齋藤メソッド」での実践記録書です。

        この一冊で、『段取り力』『コメント力』『質問力』『スラムダンクを読み返せ!!』『実践齋藤メソッド』『教育欲を取り戻せ!』などの系譜をみることができます。

        以前に読んだときは人生指南書としての位置づけで、『「できる人」はどこが違うのか』(ちくま新書)がなかなか読みすすめることができず、解説書として本書を利用していました。

        今回は教育という観点からアプローチしました。子どもたちを育てるために、ゴール設定方法、教育課題、今の子どもたちに必要な力が丁寧に紹介されており、「なぜ勉強しないといけないのか」から、「なぜ教えるのか」「何を教えるのか」といったことを問い直し、その骨組みを考える際、本書は役立ちます。


        | 齋藤孝 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        読書力2
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          ■今日のメンター
          ■齋藤孝の速読塾
          ■齋藤 孝
          ■筑摩書房
          ■著者紹介
          1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞)など。


          【1】 理解力の3段階

          本を読んだときの「理解力」のレベルについて考えてみましょう。まず、もっとも低いCレベルは本を読んでもすぐ忘れてしまうランクのことです。知識としては“使えない”というレベルです。いくら読んでも蓄積がない、一番大切な「頭の良さ」につながっていない場合がCレベルです。

          Bレベルは、「要約力」はあるというレベルです。要約力は、一般的に言われる意味での「頭の良さ」と比例しています。要約することができれば、物事の一番大事な骨組みをつかんで、それをはずさずに再生できるわけですから、普通の仕事はできるという「頭の保証」になります。

          要約力は本を読みっぱなしにしないで、読書ノートをつけるとか、人に話すといった訓練で高めることができます。トレーニングによって要約力を磨いていくと、道が二手に分かれます。どこまでいっても要約レベルから抜け出せないもの、要約で終わる理解力、それがBレベルです。


          【2】 目標は自分のオリジナルなものが出せること

          Aレベルの理解力とは、新たな価値を付与して、オリジナルのアイデアや提案、見方が出せる力です。速読・多読を通して、要求している理解力はまさにこれです。単に早く読んだり、たくさん読むことが問題ではありません。理解力のある本当の頭の良さを手にいれるというゴール設定が重要です。

          なぜAレベルの理解力にこだわるかというと、日常のあらゆる場面でそれが必要とされるからです。例えば、戦争、憎しみは、みな「理解が足りない」あるいは「理解することを拒否している」ところに生まれてきます。コミュニケーションの最低限の基本も理解力です。

          そして大切なのは、その「理解力」が速くなければいけないということです。目指す理解力とは、「速解力」です。明日、正解を持ってこられても意味がありません。それでは、生き生きした斬新な価値を生み出すことはできません。その場で、即、理解することが大切なのです。


          【3】 本を読む心構え

          多読するには、本を読む時間を増やせばいいだけです。私は、ソファーで読み、トイレで読み、健康器具ロデオマシンに乗るときでさえ、読みます。そればかりか、テレビをみるときもつねに本を読んでいます。「どういうときに本が読めないのか」という逆転の発想で考えてみてはどうでしょうか。

          「速読・多読」ができるようになるには、初心者のうちのある時期は本に関して金に糸目をつけない、という覚悟を持った方がいいと思います。1ヵ月に最低1万円は本に出資すると決めておいてはどうでしょうか。1ヵ月1万円以下で脳味噌をよくしようというのは、少し考えが甘いと思います。

          本がたくさんありすぎて、部屋が狭くなると言う人がいますが、頭がよくなるほうがずっと重要なのに、なぜ部屋のスペースを優先するのかという感覚が私にはわかりません。それに、本当に増えて困るというのは、10000冊くらいになってからをいいます。1000冊は大したことありません。


          【4】 本は著者が自分のためだけに時間をさいてくれること

          私が本を素晴らしいと思うのは、著者が自分のためだけに時間をさいて、丁寧に解説してくれているからです。アリストテレスやドストエフスキーを家庭教師に雇おうと思ったら、お金をいくら積んでも不可能です。第一、時空を超え、その人のところに行かなければ、話しを聞くことができません。

          それが本という形にまとまって、目の前にあります。しかも本はそうした著名な人が最高の集中力をもって、言い間違えもなく、構成も整理されてまとまった状態で提示してくれているものです。そんな機会はめったにあるものではりません。このように考えると、本はこの上ない便利な先生です。

          書店に行くと、ありとあらゆる時代、国、分野の名だたる先生がたが、私たちを待っていてくれます。一人でも多くの先生と出会い、先生の主張のいちばん優れたところを教えてもらい、自分のアイデアに生かして、新しい価値を生み出すことができるのです。考えただけでワクワクします。



          ■選書コメント

          今週は齋藤孝先生特集第2弾です。


          昨日の『読書力』は、2002年9月に出版されました。本書は2006年10月です。4年間を経た齋藤先生の進化をこの2冊からよみとることができます。

          前作ではあれほど要約力、要約力と口をすっぱくして要約だーと話をされていたのに、本書では要約力はBレベルでしかない!!と、要約力はステップ台になっています。

          このAレベルは、『コメント力』や、『三色ボールペン情報活用術』においても共通で、情報と接する際に、文脈を踏まえた上でどう自分と関わらせ、クリエイティブなアイデアを出していくかということの大切さに気づかせてくれます。


          このレビューでは、「速読」ではなく、「読書力2」というコンセプトで紹介させていただきました。ですので、速読の部分はほとんど紹介していません。しかしながら、紹介をしていないだけで本書のタイトル通りに、速読メソッドも満載です。

          本をある程度親しむと、速読法に行き当たります。フォトリーディング、栗田式SRS、特打シリーズ速読編などをご存知の方も多いと思います。誰もが一度は速読を夢見ます。本をパラパラパラとめくっているようにみえて、本人は感動して涙を流しているという光景に憧れるてしまいます。

          かくいう私もそれらを学びました。それぞれによさや、向き不向きがあります。速読に興味をもたれている方は一通り経験されるとよいかと思います。ちなみに『齋藤塾』では、ステップアップ式で速読を目指すというよりは、いくつかのメソッドを提示しブッフェ的で、合うものを取り入れるといったスタンスです。

          なので興味あるものを試すといった方法もとりやすいかと思います。締め切りを決めて読むといったスタンダードなものから、「喫茶店タクティクス『6冊30分読み込み』」といったハイレベルのものも用意されているので奥も深いです。


          読書の秋のおともにオススメの1冊です。


          | 読書 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          読書力
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            ■今日のメンター
            ■読書力
            ■齋藤 孝
            ■岩波新書
            ■著者紹介
            1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程等を経て、現在は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞)など。


            【1】 読書力

            日本ではいつのまにか、本は、「当然読むべき」ものから「別に読まなくてもいい」ものへと変化してしまった。これも時代の変化だ、とおだやかに受け入れてしまう人もいるかもしれないが、私はまったく反対だ。本は読まなければいけないものだ。こう断言したい。

            「読書好き」と「読書力がある」は違う。もちろん一致する場合も多いが、好きな推理小説家の作品だけを読み続けている人は、読書好きとは言えるが、読書力があるとう保証はない。「精神の緊張を伴う読書」が、ここで想定している読み方だ。作家や著者は偏らずに散っているのが望ましい。

            私の基準としては、本を読んだというのは、まず「要約が言える」ということだ。字面をいくら目で追ったとしても、あらすじや要約が言えないようでは、読書をした効果が薄いからだ。要約を条件にすることで、いつも自問するようになる。自分の読書力を向上させる目安になる。


            【2】 自己形成としての読書

            読書の幅が狭いと、一つのものを絶対視するようになる。教養があるということは、幅広い読書をし、総合的な判断が下すことができるということだ。本を読むことで、自分の世界観や価値観を形成し、自分自身の世界をつくっていく。

            また、人間の総合的な成長力は、優れた人間との対話を通じて育まれる。身の回りに優れた人がいるとは限らない。しかし、本ならば、現在生きていない人でも、優れた人との話を聞くことができる。優れた人との出会いが、向上心を刺激し、人間性を高める。

            さらに、あまりにも当たり前なことかもしれないが、考えることは、言葉で行う行為だ。一人での考え事も、基本的には言葉で考えている。言葉の種類が少なければ、自然と思考は粗雑にならざるを得ない。考えるということは、言葉の豊かさで、これは知るには読書が最良の方法である。


            【3】 自己形成としての読書2

            本を読んでいて「自分と同じ考えの人がここにもいた」という気持ちを味わうことは多い。「自分ひとりの経験ではなかったのだ」という思いが、自分の生を勇気づける。現在の自己を肯定してくれる者に出会うことによって、アイデンティティは形成される。

            実体験至上主義は、経験世界を狭くする。実体験の前に読書をしていることは、体験の質を低くするどころか高くするものだと私は考えている。先入見なしに物事に向かうといえば聞こえはいいが、あまりに知識のない状態では物事の本質をまったく見逃してしまうことの方がむしろ多い。

            人間の極端なスタイルをあれこれと知ることは、コミュニケーションの幅を広げてくれる。日常ではどうしても自分と同じレベルや同種類の人とつき合いがちだ。その方が負担が少ないからだ。しかし、本の世界では強烈な人間とつき合うことできる。これは、人間の幅を広げ、器をおおきくする。


            【4】 読書力を身につける

            私が設定する「読書力がある」ラインとは、「文庫百冊・新書五十冊を読んだ」というものだ。読書が習慣化するラインがこのあたりだ。読書力が高い人は、おしなべて「文庫本時代」を経過している。また、新書は文学系とは違った、大きな知識体系への入り口になっており、知識欲を促進する。

            本を自分のものにするためには、線を引きながら読む。線を引くというのは、積極的に本の内容に関わらせていく明確な行動だ。他の人に見られてしまうかもしれないという恥ずかしさも含まれている。線を勇気を持って引く。この一回一回の積み重ねが、本を読む力を鍛える。

            本を読んでもその内容をすぐに忘れてしまう。それの対策として、本を読んだらとにかく人にすぐその内容を話す。できれば3、4人に同じ話をするようにする。そうすると、ほぼ後で使うことができるような形で記憶することができる。一文だけでも、印象に残った文章を人に話しまくるのだ。



            ■選書コメント

            今週は齋藤孝先生特集第2弾です。

            ご存知の方も多いと思いますが、あえてまた言います。サンチャゴは齋藤孝先生の大ファンです。50冊は超えました。話し出したらとまりません。今度街で会ったら試しに話題をふってみてください。しかし、その際は想像以上に火がつくので火傷に注意です。

            という私が齋藤先生入門編としていつもオススメしているのが、この『読書力』です。(※『「できる人」はどこが違うのか』もセットでオススメ)本書が私の読書でのブレークスルーポイントです。最後に文庫百選が付録でついているのですが、このリストを片手に神保町の古本屋を探しあるいたのを昨日のことのように覚えています。

            本を読んだと言うことは要約できるということである。という概念も、読書に対するスキル意識の向上となり、今、このレビューにもつながっています。

            実をいうと、年内に1度「読書会」を開こうと企画中です。読書力というコンセプトに共感されたかた、ぜひ一緒にこの力を磨いていきましょう。


            | 読書 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            陰山式モジュール授業の実践
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              ■今日のメンター
              ■陰山式モジュール授業の実践
              ■陰山 英男
              ■小学館
              ■著者紹介
              1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では著しい成果をみせている。2006年4月より、京都市北区に開校の立命館小学校副校長兼立命館大学教授に就任。2006年10月、政府の教育再生会議委員に就任。



              【1】 基礎的な学習能力は高まる

              今までの日本の教育は、子どもたちの基礎的な学習能力が高まるということを想定していませんでした。子どもの能力は一定のものとして、どのような手段や方法で子どもたちを学習させていくことがいいかという、教材中心の考え方でカリキュラムが考えられてきたのです。

              でも、ここに至って、その発想を根本から改めなければ、新しい段階の指導はあり得ません。新しい教育をするために効果的な、新しい指導方法を開発し、着実に結果をだしていくことが重要と考えるべきでしょう。

              土堂小学校における実践の最大の成果は、子どもたちの脳は、予想以上に、短期間に、簡単な方法で、高度に鍛えることができるということを発見し、さらにその指導法を誰でもできる形で提案できたことにあります。その指導法こそが「モジュール授業」です。


              【2】 「モジュール授業」とは

              読み書き計算の重要な点は、第一に全学級がいっせいに行うことです。学級や学年を超えて情報交換が行われ、相乗効果がでてきます。第二に、実践がもっとも効率的にできる朝に行うこと。脳が活性化された状態で授業に入れます。そして、第三は、毎日することです。

              最大の問題は、どの授業時間に繰り込むかでしたが、土堂小学校ではこのように行っています。45分授業を15分×3として、音読15分、計算15分、その他15分として、週3日・1時間ずつ、モジュール授業の時間としました。国語、算数、学校裁量のそれぞれ1時間をあてました。

              当初こうした実践に疑問をもっていた先生方も、わずか3年でこの実践を多くの人の前で語るほどにまで変化しました。それは、多忙に苦しむ教職員を楽にすることができたからです。想像してみてください。ひと通り説明しただけで、だいたいの子が学習内容をきちんと理解できるという授業を。


              【3】 「モジュール授業」のポイント

              「モジュール授業」を指導するに当たって注意すべき点は「スピード・テンポ・タイミング」です。3つの中で重要なのはスピードです。一般的に授業は「ゆっくりじっくり」がいいと思われていますが、どうも脳はスピードに反応するようです。

              「モジュール授業」では、このスピードやテンポにすべての子どもたちがきちんとついて来ているかどうかをきちんと見極めることが、最も重要になってきます。「ついてこれない子も多い。だからだめ」というのではなく、なぜできていないのかを分析し、次の指導に生かすことが絶対に必要です。

              できてない部分を抽出し、全体でも個別でも、そこを繰り返してできるように努力することが必要なのです。そうして、全員をしっかり伸ばすという努力をすることが望ましいのです。


              【4】 成果が物語る子どもたちの可能性

              まずは家庭の協力による「早寝早起き朝ごはん」の生活習慣の徹底で、子どもたちを元気に学校に送り出していただくこと。そして、読み書き計算の反復学習で、子どもたちの脳のパワーを高めていくこと。この実践の有効性は標準学力調査でトップクラスの成績を収めたことでも明らかです。

              土堂小学校は学力による選抜は行っていません。この結果が示すこと、それは学力的に選抜された子どもたちと同じレベルまで向上することは、子どもたちと周囲の大人たちが望めば可能だということです。

              何よりもいいことは、子どもたちが学校を楽しいと言い、早朝、笑顔で元気に登校してくれるようになります。子どもたちの脳のレベルが一段と上がったとき、クラスにどのような変化が生じるか、実践され、子どものたちの伸びを目の当たりにされたとき、この意味をご理解いただけることでしょう。


              ■選書コメント

              今週のメンターは陰山英男先生です。

              先日も申し上げましたが、私の母校は陰山校長で有名になりました土堂小学校です。その関係もあり、昨年一時広島に帰省していたときに、公開授業に2度、陰山校長の講演会に3度に出席しました。

              そのときの子どもたちの生き生きとしている授業風景はとても衝撃的でした。20年前同じ教室に自分が座っていたのとは随分違うなぁと。「さすがすごいな3年生か4年生ぐらいかな」と思って教室の札をみたら1年生と書いてあり目を疑いました。

              それでこの秋にまた研究授業があるという情報を得たので、最後の機会だと思って往復2〜3万交通費がかかりますけれども、ビデオにおさめておこうと、帰省を考えていました。そうしているところに、なんとグッドタイミングで、本書が発売されいたのです。

              この本には、DVDでモジュール授業が収録されています。な、なんと収録時間は1時間48分で、2,200円です。おもわず2冊買おうかと思いましたが、気を静めて1冊のみの購入にとどめました。この容量で、この価格は、とてもお得です。

              演劇や、スポーツを映像で観るようなイメージにはなりますので、実際よりも迫力はやや減っていますが、雰囲気や実践の意味は十分読み取れる内容です。結局陰山式ってどうなのかなぁ、という疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。



              | 陰山英男 | 14:56 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              学力の新しいルール
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                ■今日のメンター
                ■学力の新しいルール
                ■陰山 英男
                ■文藝春秋刊
                ■著者紹介
                1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では著しい成果をみせている。2006年4月より、京都市北区に開校の立命館小学校副校長兼立命館大学教授に就任。2006年10月、政府の教育再生会議委員に就任。



                【1】 学力と睡眠の関係

                1981年あたりから学力の低下、子どもたちは荒れ始めます。その80年代とは、安いテレビ、レンタルビデオ、それからテレビゲーム、こういうものが、急速に子供たちのなかに普及していったときです。結果、睡眠時間の急速な減少が起きることとなりました。

                では、こうした睡眠不足は学力にどのように影響していくのでしょう。広島県が行っている学力定着度調査の結果では、睡眠時間4時間の子どもが5時間台に増えただけで、平均点が10点以上上がってきます。7、8、9時間ぐらいだとだいたい平均点が70点台で成績が安定してくるのです。

                そして、次は朝型への生活改善です。子どもたちの劇的な向上に成功する要因は、百ますでしょうか、漢字学習でしょうか。それが違うのです。特別な方法があると思っている人は多いですが、それこそがもう錯覚なのです。学力を劇的に向上させるのは、朝型に切り換えることなのです。


                【2】 朝食を食べている子ほど学力は高い

                それからもう一つの問題が食事です。「食あたりに使われる食材の数と、テストの成績との相関関係」を調査した結果、1食に使われる食材の数が4食以下の場合だと成績が悪い。そして、いろんなものをたくさん食べさせると成績が上がっていく。しかも種類と成績は正比例状態だとわかりました。

                食事の中でも朝ご飯は特別重要になります。学力を上げようとしても、朝ご飯を食べていないと、とにかく朝ぼやーっとしてしまいます。文部科学省の調査でも、「必ず食べる」と「たいてい食べる」を比べてただけでも、実に1割近くの平均点の低下を見ることができます。

                もう一つお願いしたいのは、家族団欒を大切にしてほしいということです。音読と同じほど脳が活性化するのは「家族との対話」です。実は、難しいと思われていた頭をよくする方法が、食べて、寝て、家族同士で会話するという人間にとってごくごく当然の営みだったということなのです。


                【3】 個性は、苦しい努力のむこう側にしかない

                「新・学力観」にどこが問題あったのでしょう。もっとも問題だったのは、個性尊重という概念の解釈と運用です。もちろん個性を尊重するのは当然なことです。しかし、能力の低さも個性のうちと理解されたことで、指導が迷走をはじめたのです。

                学校でやっている学習は社会生活を営む上で、最低限にしてもっとも基礎的なものです。やってもいいし、やらなくてもいいというものではありません。大人になれば、働かなくてはなりません。これは憲法に規定された国民の義務です。やりたいことの前に、まずやらなければならないことがある。

                私はよくこんなことを子どもたちに言いました。「笑いながらできるものは誰でもできるものだ。それを個性とはいわない。人がそう簡単にできないことができるから個性なのだ。つまり、個性は、苦しい努力の向こう側にしかない。だから、苦しめ」


                【4】 学力と元気の関係

                実社会では、すべて成功していくことはあり得ません。いろいろな失敗をします。しかしそこから人は学び、立ち上がって次の高い段階をめざします。そうした根性こそもっとも必要なものでしょう。

                「そうは言っても、東大へ行けばどんな不況のときも、就職率もだんぜんいいではないか」と人は言います。しかし、最近、仕事がら東大を出られた方といっしょになる機会があります。接してみて思うのです。東大を出ているからすごいのではありません。すごいから東京に入っておられるのです。

                逆に、東大を出たからといってすべての人がすごいというわけではないということです。いい仕事をしている人に共通しているのは元気です。この学力と元気との関係が理解されたとき、そこから学力低下問題の解決が始まるのです。



                ■選書コメント

                今週のメンターは陰山英男先生です。

                陰山先生のモットーは、「『常識』じゃなくて『目の前の子どもの事実』を信じよう」です。その結果、陰山メソッドと呼ばれる実践が数多く世に生まれることとなりました。同時に、これらの新たな教育手法は、「『常識』じゃないため」に、常に批判の的となってきました。その批判の中でたくましく鍛え上げられ、完成されたのが本書です。

                今まで山口小学校や土堂小学校での経験による成果が中心でした。それに加え、多く実践・追試が行われたことや、睡眠や食事への関心が高まることで様々なデータの追跡研究、蓄積がたまってきたことにより、陰山メソッドの裏づけと、メソッドのさらなる発展をみることができます。

                今ままでの著作が実践編とするなら、こちらは理論編です。加えて、学力の国際比較や、フィンランドの教育、教育改革など教育に関する時事も満載で、オススメの1冊です。

                余談ですが、私はこの本を購入したのはちょうど昨年の今頃の時期の陰山先生の講演会の時で、「一日入魂」とサインしていただき、さらに、写真も一緒にとってもらいました。アップしておきます(笑






                | 陰山英男 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                学力は家庭で伸びる
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                  ■今日のメンター
                  ■学力は家庭で伸びる
                  ■陰山 英男
                  ■小学館
                  ■著者紹介
                  1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では、全校生徒の平均偏差値が2年間で52から59まであがるなど、著しい成果をみせている。


                  【1】 学力は人間の総力戦

                  子供時代を犠牲にし、時には心身の健康を害してまでやらなければならない勉強は、絶対に間違っていると声を大にして言いたいです。健康的な生活と基礎基本の学習、そして集中力を身につければ、夜中まで勉強しなくても大学に入れるのです。

                  学力とは、机に長時間向かってさえいればつくようなものではないのです。体験も大事です。感動したり、不思議と思ったり、探究心、壁を乗り越えていける力、すべてが学力に含まれます。いわば、総力戦です。その総力戦を支えているのが、集中力です。

                  だらだらと長時間勉強をし続けていては、肝心なときに集中力を発揮できなくなってしまいます。そして、その集中力は、元気だからこそ発揮できるのです。親は「勉強しなさい」と言うよりも、子供が元気に毎日を送れるように気を配ることのほうが、はるかに大切なのです。


                  【2】 あいさつができる子は友達が多い

                  子供の顔を見れば、だいたい何を考えているかわかるのです。口にださなくてもちゃんと顔に書いてあります。私が、子育てに理屈はいらない、いちばん大切なのは子供をよく見ることだ、と主張するのもそこなんです。「ただいま」の声が聞こえたら、顔を見て「お帰り」と迎えてあげてください。

                  また、あいさつはコミュニケーションの第一歩です。声に出すからこそ伝わるんです。朝、登校する子供を「いってらっしゃい」と元気に送り出してあげてください。きちんとあいさつのできるほど情緒が安定していて、成績がよい場合が多いです。人に好かれ友人もたくさんいます。

                  気力、体力、さらにコミュニケーション能力のどれかひとつ欠けても、元気にあいさつすることはできません。あいさつは子供の元気のバロメーターと言ってもいいかもしれませんね。


                  【3】 本を通して親の価値観を伝える

                  私は「子供にテレビを長時間見せてはいけない」と主張し続けています。それは、子供たちに落ち着きがなくなり、授業に集中できなくなるからです。なぜ、子供たちはそんなにテレビを見るのでしょうか。理由は簡単、テレビ以上に興味を引くもの、刺激を受けるものが家庭にないからです。

                  テレビよりもおもしろいものがあることを、ぜひ子供に教えてあげてください。そのひとつが本です。時間を忘れるほどおもしろい本に出合えると、子供はテレビを見る暇があるのだったら、本を読もうという気になります。毎日30分間、3年続けるとたいていの子供は本が好きになるものです。

                  ぜひご自身が学生時代に感銘を受けた本を、すすめてみてください。毎日の生活の中で、親の価値観や人生観といった話はなかなかできませんが、本を通じてなら伝えられます。子供が共感することもあるでしょう。私は特に父親は人生観を伝えるべきだと考えます。本はその最良の手段なのです。


                  【4】 壁にぶつかっても手をかさない

                  「将来、受験で子供に苦労させたくないから、大学までエスカレーター式の学校に入れたい」という母親の話を聞いて、私は首を傾げたくなったことがあります。私立に入れることがいけないとは言いません。しかし「子供に苦労をさせたくないから」という理由には賛成できません。

                  勉強にストレスはつきものです。わからないことがわかるようになるために勉強をするのです。子供にストレスがあるのは当然のことです。苦労や、悩みがあっていいのです。子供はそれを乗り越えて成長するのです。問題はそのストレスや悩みの程度を知り、親が寄り添い、一緒に悩めるかです。

                  ストレスも悩みもなく大人になった人なんていません。私たち自身を振り返ってみてください。なとか乗り越えてきたではないですか。ストレスに打ち勝つ力をつけるチャンスを親が奪ってはいけないのです。





                  ■選書コメント

                  今週のメンター陰山英男先生です。

                  本書は家庭でできる41の陰山メソッドが紹介されています。陰山先生はもともとは一教諭の立場のため、対教師向けよりも、対家庭向けの内容のものが多かったです。その決定版がこちらです。

                  社会の変化に伴い家庭の求心力が低下してきており、いわゆる家庭での教育力が低下してきています。忙しすぎたり、逆に情報過多のため不安になったりと家庭の教育に方針が持てないということもあるかと思います。

                  この本では41種類の提案がなされているので、1つ、2つでも興味のあるもの、できそうなものから順次取り組んでいけます。さらにその一つひとつの提案に、陰山先生の思いやねらいも詳しく述べられているので単純なハウツー本ではないという魅力もある一冊です。


                  | 陰山英男 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  学力はこうして伸ばす!
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                    ■今日のメンター
                    ■学力はこうして伸ばす!
                    ■陰山 英男
                    ■学習研究所
                    ■著者紹介
                    1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では、全校生徒の平均偏差値が2年間で52から59まであがるなど、著しい成果をみせている。


                    【1】 学力は三層構造

                    学力というのは三層構造でつくられます。まず底辺には「健全な生活習慣」があって、その上に「基礎基本の学習」と「読み書き計算のトレーニング」があり、さらにその上に「多様な学習」があります。その基本構造が意識されていないと失敗します。

                    底辺がないのに突然一番上の層に飛びつけば、「とにかく体験的な学習を重視しよう」となって学力低下を起こします。そうすると今度は「学力低下だ、じゃあ読み書き計算トレーニングを重視しよう」といって2つめの層に飛びつく。そうすると子どもたちに過剰な負担がかかってしまいます。

                    子どもたちに「やらせてもダメ、やらせなくてもダメ」だという原因は、最下層、つまり生活習慣を無視していることです。寝不足のままご飯も食べさせないで「百ます計算」をやったらキレますよ。そりゃあたりまえです。


                    【2】 覚悟を決めて子どもを伸ばす

                    「早寝早起き朝ご飯、テレビは2時間以内で」これは私が何よりも強く訴えてきたことです。しかし、これは結局、各家庭の生活リズムを変えさせようという提案です。それを家庭が「わかりました」と了解することは普通ではありません。まずは学校・教師自身が覚悟を決める必要があります。

                    最終的に「子どもを伸ばす」という、たったひとつの尺度で物事を考えられるようにならなければ、覚悟は決まらないのです。大変だとか面倒だとかこうやればうまくいくとか、方法論ではなく、やった結果が「子どもが伸びればそれでいい」ということ、すべてその基準で考えればいいのです。

                    いくら教師が夜中まで頑張って教材を作って残業しても、それで子どもが伸びないなら意味がありません。現段階で子どもの学力低下の原因が、生命力の低下になるなら、生命力を伸ばすしかない。そのために自分はどこまで頑張れるか、それだけのことです。


                    【3】 教師に必要な3つの「目」

                    「子どもを見る目」
                    何が必要なのか、それを見極める力です。答えは常に目の前の子どもの中にあります。そして、できない子伸ばすことことから逃げないでそこにある事実に立ち向かってほしいと思います。

                    「時代、社会を見る目」
                    子どもたちに身につけさせた力が、果たして社会に意味があるものなのかどうかを見極める目です。教師の勝手な思いで指導して、ああ良かった、なんてそんな独りよがりなことは許されません。

                    「自身の実践を評価してもらう目」
                    子ども同様、教師も自分のやっていることをきちんと社会に評価してもらわなければなりません。自己満足では、どんなにいい実践も、継続が難しい。評価されることで意欲も元気も増すのです。


                    【4】 周囲の期待が子どもを伸ばし、自信を生む

                    難しい問題が解けたら、誰でも嬉しい。その喜びが、自信につながる。自信がつくと、もっと難しい問題に取り組めるようになり、成長する。その成長の喜びが、自信を生む。この好循環が子どもを伸ばすのです。

                    もしこれができないのだとしたら、その理由は、我々大人が、子どもが伸びることを信用していないからではないでしょうか。実は、私も最初は信じていませんでした。でも、子どもが成長するのを目の当たりにして伸びるのを見るのがやみつきになりました。子どもは予想以上に伸びてくれます。

                    そして、予想を超えて子どもが成長したら、もう心の底から褒めるしかありません。褒められた子どもは自信がついて、もっと頑張ります。そしてまた伸びて褒められる。やってみればわかることですが、すごく単純なことなのです。


                    ■選書コメント

                    今週のメンター陰山英男先生です。

                    本書は陰山メソッドの本質、実践例が丁寧に紹介されています。また、百ます計算&漢字プリントなどが収録されたCD−ROMも付いています。

                    山口小学校での実践が熟成されており、フラッシュカードや、そろばん、インターネット、英語学習など最新のメソッドも収録されています。「陰山先生=百ます計算」との認識が強いですが、それ以外にも多くの発見がある一冊です。



                    | 陰山英男 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    『読み・書き・計算』で学力再生
                    0
                      ■今日のメンター
                      ■『読み・書き・計算』で学力再生
                      ■陰山 英男
                      ■小学館
                      ■著者紹介
                      陰山 英男
                      1958年兵庫県生まれ。1980年岡山大学法学部卒業。1989年4月より兵庫県朝来町立山口小学校教諭。着任直後より生活習慣の改善と『読み書き計算』の反復練習を二本の柱として学力向上にとりくむ。2003年1月、「学校裁量権の拡大」の研究校として指定された広島県尾道市立土堂小学校の校長に公募から選ばれ、4月就任。カリキュラム編成から学校づくりにとりくむ。同小では、全校生徒の平均偏差値が2年間で52から59まであがるなど、著しい成果をみせた。


                      【1】 基礎学力をきたえる意味

                      学校教育をコマにたとえるなら、「基礎学習」はコマの軸と言えます。コマには軸と、ふくらみが必要です。まず、しっかりとした軸があり、その周囲にふくらみがついてこそ、すばらしいコマとなるのです。ふくらみとは、体験です。

                      夕日を見て美しいと感じるのは体験で、それ自体意味があります。しかし、学力のついた子なら、その体験を詩や作文、絵にするでしょう。これが体験学習です。そうやって学習されたことは友達や家族と分かち合うことができます。見た感動を、人にわかってもらうこと、これが、学力の意味です。

                      学力をつけてあげるということは、自分の心を人にわかってもらう喜びを、子どもに与えることです。そういう意味で学力なき体験では、限界があります。基礎学力を獲得して学び、そしてそれを人と分かち合う喜びを知った子は、自ら学び始め、止まることのないコマとなって成長していくのです。


                      【2】 読む力を育てる

                      文章の読解をやらせようとしても、音読でつまずいているようだと、満足な読解はできません。国語以外の教科でも、同じように音読による文章理解が必要と考えています。それで、国語に限らず、さまざまな教科で、音読を宿題にしています。

                      音読を上手にするコツは、少しずつでも、全員の音読を、毎日聞いてあげることです。多くの子どもをチェックするには、読ませる量を少なくします。3行ほど読ませただけでも練習しているかどうかはわかります。そして、よくなるポイントを助言してあげることが大切です。

                      もう一つ重要なのは、評価をきちんとすることです。これは読むことに限りませんが、新しい単元に入る場合は、単元の特色や予想される宿題、どの点をどう評価するかを、あらかじめはっきりさせて、子どもに伝えておきます。つまり、何をどうがんばればいいかを確実に伝えることが大事なのです。


                      【3】 書く力を育てる

                      新出漢字の学習は、教科書から切り離して進めることが基本です。その理由は、教科書の単元通りに学習していくと、学期末の漢字を復習する時間がなくなってしまうからです。漢字の習熟には、くり返して練習することが、絶対必要なのです。冬休みの宿題で漢字の層復習ができるようにします。

                      子どもたちが漢字を間違える最大の要因は、実は熟語の意味がよくわかっていないことです。子どもは、習った漢字について、教科書にある熟語は書けても、その漢字が別の熟語で使われていると、まだまだ書けません。熟語から漢字の意味を知るやり方の方が子どもたちは理解しやすいのです。

                      また、覚えるためのポイントは、「書き順」「部首」「音読み」「訓読み」など、これだけやればいいと限定することです。やることを限定して、それを徹底反復すると、たやすく覚えられます。こうした一つのやり方をずっと通すのが、子どもたちにとって合理的なのです。


                      【4】 計算力をきたえる

                      計算力は算数のかなめです。しかし、カリキュラムの関係上、教科書の構成通りの授業では、練習不足になってしまう危険性があります。そこで、毎日「百ます計算」をやって、計算力をつけています。

                      たす・ひく・かけるの百ます計算が、それぞれ3分以上かかってしまうと計算上のミスが増え、5分を越えるようだと桁数の多い筆算などはできない、などの問題が出てきます。だいたい2分以内でできるようになると、基本的な算数の学習が問題なくできるような力がつきます。

                      毎日少しずつ継続すること、タイムを必ず計測し、記録し、声をかけること、集中的な指導をすることが百ます計算が速くなるコツです。注意しなければいけないのは、ほかの子と自分を比べさせないことです。大切なのは自己新記録の更新です。そうして、みんなが自信をつけることを目指します。



                      ■選書コメント

                      今週のメンター陰山英男先生です。

                      今まで溜め込んできた陰山先生の著書をついに読む機会となりました。陰山先生の著者は10冊以上購入しており、しかも『学力はこうして伸ばす!』『子どもは無限に伸びる』『学力再生』『学力は家庭で伸びる』『学力をつける100のメソッド』など、似通ったタイトルが多く、積読具合が進む一方でしたので、ここであらためて整理できました。

                      本日は「読み書き計算」、明日以降は「学力の伸ばし方」、「家庭学習」、「新しい学力」、「モジュール授業」をテーマにした著書を紹介させていただこうと考えています。

                      実は私の母校が、陰山英男先生が校長をされていた「土堂小学校」です。とてもなじみのある先生で今週のレビューは個人的にもとても楽しみです。

                      | 陰山英男 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |